未経験スタッフ1~2名で24時間稼働ラインを
制御する。未来のイメージだ。
最終目標は、工場の一貫生産ライン化とその無人化だ。
まず、主要な資材となるあらゆるサイズの管材を自動倉庫に格納し、中央管制室からの指示で生産ラインへと搬出する。最初がロボットによる切断作業、それが済んだら加工情報の入ったタグを付けて次へ。その溶接組み立て工程では、多能ロボットが組み上げる部材を準備して接合面を合わせ、最難関と言われる溶接もプログラム通りにこなす。最終段階では、レントゲンによる非破壊検査を経て製品情報QRコードを付ければ納品だ。この時、ラインは24時間稼働。必要なスタッフは未経験者1~2人と、現在の1/20になるという。
2017年、今まで空想の世界だった生産ラインの
無人化へ、竹中が決断する。
この構想は、社長の竹中にとっても空想の世界だったのだ。
だが、職人の高齢化と減少には歯止めがかからず、2017年、竹中は開発を決断する。
その時、最重要のポイントは、溶接だった。いち早く情報を得ようと世界中に可能性を求め、ロボットメーカーにももちろん問合せもしたが、結果、4社が対応を試みてすべて途中でキャンセルとなった。溶かした途端に重力の影響を受ける金属を、適切に接合できなかったのだ。そこで、今度は竹中自身がプログラム開発を試みる。もちろん素人だったが、そのためのトレーニングをメーカーから受けたのだ。すると、そこに一条の光が射し込んだのだった。
世界初の溶接ロボットシステムが誕生する。
そのラインは、セイワの事業を変えて行くだろう。
やはり、職人としての経験値こそがブレークスルーの源だったのだ。そして、メーカーも本気になった。2021年夏に始まったこの技術開発は2022年夏にも完成が見込める。おそらく世界初。
もちろん、セイワにとっては初の特許となるだろう。よって、技術の内容についてはこれ以上コメントできないのが残念だが、このコア技術をベースに3年後には無人化ラインの建設、いや新工場への建設へと一気に進むという。それは、プラントエンジニアリング事業の強化とともに、まったく異なる工場資材の安定供給を図るプロダクト事業の誕生を意味し、セイワにとっては次の成長への起爆剤となるだろう。